ただあの子になりたくて
足は震えていた。
それでも、レールの真ん中を疲れ切ったスニーカーで踏みしめた。
そんな人間、誰も必要となんてしないだろう。
だからもう、こんな私なんていらないのだ。
地が揺れる。
突如眩しい光に包まれる。
うなりを上げる巨大な鉄の箱が、もう目の前に。
私は蹲る間もなく目を閉じた。
一瞬にして包まれる轟音の海。
けれど、すぐに遠のく音、失われていく感覚。
すべて消えてなっていく。
このまま、私の全部、きれいさっぱり消えてなくなってしまえ。
心で叫んだ瞬間、頭の中がまっさらな眩い白に染まっていった。