ただあの子になりたくて


人間は死んだら、こんなふうになるのだろうか。

「戸惑っているようだね、私は死んだんじゃないのって」

どこからか、明るく弾んだ声がした。

少年のような少女のような、どっちつかずの幼い声音。

すると同時にひとつの姿がぬっと現れた。

衝撃が走る。

幻を見ているのだろうか。

「えっ……? なんで私?」

何の感覚もないのに、白い空間に私のひっくり返った声が飛び出した。

白いブラウスに、うちの高校の胸の赤いリボン。


< 27 / 318 >

この作品をシェア

pagetop