ただあの子になりたくて
「私はもともと馬鹿よ。知ってるでしょ、あんたなら」
得意げににんまりと笑って横を見れば、隣には制服姿の私が頬杖をついて座っていた。
真っ白な意識だけの政界で出会った、私の姿をした悪魔だ。
ちんちくりんの体を丸めて、さえない垂れた目を更に不細工に細めて私へ冷たい視線を送っている。
「これは私が望んだ答えなの。あんただって、私とこうやって並んで話せて楽しんじゃないの、本当は」
私がからかうと、そいつはそっぽを向いて無視をする。
けれど私はそんな姿さえおかしくて微笑み、やがて目の前に立つ一軒の二階家の中を覗き込んだ。
一階のカーテンの開け放たれた四角い窓。
その出窓には、真っ白な布の袋に入れられた箱がある。
その箱を囲むようにして立っているのは、まだ頬のこけている女性と、メガネをはずして目頭を押さえこむ男性。