ただあの子になりたくて
爪先の1センチ先に、オレンジ色の光が床一面に広がっていた。
境界線のように引かれたはっきりとした明暗。
私の足は、その手前で歩くことをやめた。
あまりにあたたかで、まばゆい光。
ただ自然なことだった。
そっと目を細めながら、その光の先を追ったことは。
目の前には、光に向かって伸びる階段。
なぜだろう。人はいつも、自分よりもはるかに強い輝きに引き寄せられて、憧れてしまう。
頂の踊り場で、目も眩むほどのオレンジ一色に染まり切った窓。
その窓の前で、鮮烈に浮かび上がる2人の重なり合うシルエット。
瞬間、時が、止まった気がした。