ただあの子になりたくて
どっと沸き起こる女子の歓声。
一人が言い出せば女子は怖いものなしに次々と声を上げる。
チャラ男反対、やっぱり真木くんと。
そんな声がわんさと沸き、あの拓斗でもさすがに静々と席に腰を下ろしていく。
女子係員はしたりとにやけた。
そして、パンパンと手を叩く音が教室内を制す。
「はい、じゃあ真木くんね」
ガタンと勢い良く音を立てて立ち上がる蒼介。
机についている手を固く握りしめ、浮かない顔で口ごもる。
「いや、俺は……そんな無理……」
「もう満場一致みたいなので。お願いしますね」
女子係員は有無を言わさぬ笑顔で押し切り、男子の係員とコンタクトを取った。