ただあの子になりたくて
率先して手を上げたことなどなかった。
そこは私の立つ場所ではないと、当たり前にあきらめ続けてきた。
でもそれが叶うのなら、私はその場所に立ってみたい。
華やかなヒロインに、私はなりたい。
その時、拍手が沸き起こった。
私はそっと目をみはる。
「頑張ってね」
「最高の姫をね!」
見回せば周りは温かな笑顔の海。
同じ女子の元気いっぱいの声援が飛んでくる。
おろした手の内が、かあっと熱くなる。
「では、野々原さん、よろしくね!」