山下くんがテキトーすぎて。
ズーン……。
心に鉛がのしかかったような重苦しさ。
なにこれ、苦しいよ……。
胸に手そっと手を当ててみると、
痛かった。
そっか、私…落ち込んでる。
ショック受けてる。
どうがんばっても、山下くんの彼女になんかなれないって……わかったから。
自分で聞いた質問なのにショック受けるなんて、ほんとばかじゃん私。
"遠山のこと、女としては見てないから"
あの言葉は間違いなく本音。
わかってたのに……。
期待なんて、するんじゃなかったな。
やっぱり山下くん、きらいだよ……。
グラリ、と世界が揺れた。
周りの景色とかが霞んできて……
次第に真っ暗になっていく。
落ちていく意識の中で、
かすかに温もりを感じた。
柑橘系の、甘い香り。
「─── 愛音」
優しく私を呼ぶ声が
どこか遠くで聞こえた、
気がした……。