山下くんがテキトーすぎて。
山下くんは大倉くんの肩を掴み、その後ろからきれーすぎる笑顔をのぞかせた。
「遠山、話あるんだけど」
「えっ」
「ちょっとこっち来なよ」
「むっ、無理!」
「……へぇ。そうなんだ、断るんだ。俺、あんなに一生懸命数学教えてあげたのにな〜」
う、ううっ…。
その話持ち出されると困るんですが。
「そんなに大事な話なら……えっと、じゃあ今から──」
「山下、」
私の言葉を大倉くんが遮った。
「カノジョ…笹川さん来てるよ」
大倉くんが私たちの視線を教室のドアの方に誘導させた。
その姿を捉えた途端、また心臓がいやな音を立てた。