山下くんがテキトーすぎて。
ちらっと、山下くんがこっちを見たのがわかった。
わかった瞬間、どうしようもなく胸が熱くなって。
「……悪いけど、先に予定が入ってる」
「えっ?」
……えっ?聞き間違い?今……
「土曜は遠山とス──」
「や、山下くん私はいいから!!笹川さんとの約束優先して……!!!」
思わず振り返ってしまった。
だって山下くん、その場に私がいるから断るしかなかったんだよね?
本当は笹川さんと過ごしたいに決まってる。
断らなくていいのに。
キスするくらい、笹川さんが好きなくせに。
あぁぁほら!笹川さんめっちゃ睨んでるんですけど!!!
「でも、遠山───」
「言ってなかったけど私っ…土曜日は大倉くんに連れて行ってもらうことにしたんだ!!」
うわぁぁ嘘言ってしまった!!
ごめんなさい大倉くん、お願いです話あわせてください……!!!
必死で視線を送れば一瞬驚いた顔をしたものの、大倉くんはすぐににっこりと笑って言った。