山下くんがテキトーすぎて。



「うん。土曜日楽しみだね遠山さん」



大倉くんメシア……!!

さすがだよ!合わせてくれてありがとう。



「じゃあ山下くん、そーゆーことだから土曜日は……」




視線がぶつかって、私は固まった。



山下くんの瞳は確かに私を捉えてる、のに、どこかすごく遠くを見てるかのような。


ひどく、戸惑っているかのような。


とにかく、初めて見る瞳だった。





「遠山、ほんとに言ってんの」


「う、うん…」


「……俺が連れて行くって言ったのに」




消え入りそうな声だった。


私は困惑する。


揺れる瞳に戸惑って、身動きがとれない。



そんな私の腕を、大倉くんが引っ張った。



「もう帰ろう、遠山さん」


「あっ、うん…」


腕を引かれるまま歩き始める。


廊下に出る直前、どうしても気になって山下くんを振り返ったけど、



俯いていて表情はわからなかった。




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