山下くんがテキトーすぎて。




大倉くんは教室を出てからも、私から手を離さなかった。

優しく腕を引いてくれる。




「大倉くん、なんかごめんね? 話合わせてくれてありがとう」




お礼を言うと振り向いて、少しはにかんだように笑った。

廊下の窓から差し込んでくる夕日に当てられて、大倉くんの笑顔がよりいっそう輝いて見える。


キラキラ……まぶしい。



「役に立てたならよかった。でも、本当によかったの?山下との約束」



「……うん。彼女でもないのにでしゃばれないし……山下くんだって笹川さんと過ごしたいに決まってるもん」



「……けどさ、遠山さんの方が先に約束してたんだよね?遠慮しなくていいんじゃない? それに山下だって……」




そこまで言って、大倉くんは口をつぐむ。

次の言葉を待ったけどその後も沈黙が続き、そのまま昇降口に着いてしまった。


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