山下くんがテキトーすぎて。
信号が青に変わる。大倉くんが歩き始めるのを待って私も足を踏み出した。
身体が熱くてなんだかクラクラ。
「だからやっぱり応援したい、けど、俺のことも好きになってほしい……から」
渡りきったところで再び隣に並んで、視線がぶつかった。
「俺を利用して。……いくらでも」
ざあっと風が吹く。
軽く放心状態で、頭は真っ白。
心臓の音をやけに近くで聞きながら、私は揺れる髪を抑えもしないでその瞳を見つめた。
「今日みたいな時に頼ってもらえれば助けるし、もし山下を忘れたくなったら俺が忘れさせてあげる」
俺に都合いいことばっかりだけどね、と小さく付け足して、大倉くんは笑う。
「……今週の土曜日。山下と行く予定だったところ……俺で良ければ連れて行く」