山下くんがテキトーすぎて。



きゅっと胸が締め付けられて苦しくなった。

目の前にある背中がゆらゆらと揺れて、なんだか無性に泣きたくなった。



気づけば私は大倉くんのシャツの裾を掴んでいたらしく、



「……ん、どうしたの?」



その声で我に返る。



「あっ……いや、ごめんね?
なんでもない……」


「………」



見下ろされている。多分心配そうに、優しく微笑みながら私を見てくれている。


顔を上げられないけど、わかる。




「……ちょっと予定変更していい?
公園に行こうか、遠山さん」



上から降ってきた声は、まるで催眠術みたいだった。心がホッとほぐれるような気がした。



私は自然と頷いた。


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