山下くんがテキトーすぎて。
……伝えてはない、けど。
伝えなくったって山下くんの気持ちは分かってる。
私に構う理由は興味本位。いつも変なことばっかり言って、反応を見て楽しんでる。
つまんないことが嫌いな山下くんの、暇つぶし的な存在が私。
好意は持たれているかもしれないけど、"意味"が全然違う。きっとそう……だもん。
「本当に不本意だけど、」
ふっと吐き出すような声。
「山下に気持ち伝えてみたら?」
「えっ」
「もし、本当にもしも、うまくいかなかったら俺のとこにおいで?」
「……そんな、こと……」
「いーから。ほら、約束……ね?」
身体が離れて、風を感じた。
優しく細められた目にまた泣きそうになる。
差し出された小指に、そっと自分のを重ねた。
「大倉くん、ごめんね……っ」
「うん」
「あとね、ありがと……」
「……うん。がんばれ」