山下くんがテキトーすぎて。
*
午後8時半。
お風呂から上がってバスタオルを持った私は、脱衣所にある大きな鏡をぼんやりと見つめた。
瞳はいちおう二重だけど、笹川さんみたいにまつげ長くないし、涙袋もないし、鼻が高いわけでも、陶器のように透き通った白い肌を持っているわけでもない。
それに胸だって……。
肩にかかっていた髪をなんとなく後ろに流して、自分の貧相なそれをじっと見る。
なんだか悲しくなって再び視線を顔に戻そうとした、とき。
「……ん、あれ? なにこれ」
首筋にある赤いあざ……のようなモノ。
虫に刺された……?
いやでも、痛くもかゆくもないし。
……まっ、いっか。