山下くんがテキトーすぎて。





午後8時半。



お風呂から上がってバスタオルを持った私は、脱衣所にある大きな鏡をぼんやりと見つめた。



瞳はいちおう二重だけど、笹川さんみたいにまつげ長くないし、涙袋もないし、鼻が高いわけでも、陶器のように透き通った白い肌を持っているわけでもない。



それに胸だって……。



肩にかかっていた髪をなんとなく後ろに流して、自分の貧相なそれをじっと見る。



なんだか悲しくなって再び視線を顔に戻そうとした、とき。




「……ん、あれ? なにこれ」



首筋にある赤いあざ……のようなモノ。

虫に刺された……?

いやでも、痛くもかゆくもないし。



……まっ、いっか。

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