山下くんがテキトーすぎて。
「どうしたのこんなに早く。遠山にしては珍しーね」
「う、うん。ちょっと早く目が覚めて……」
「へぇー。偶然だね、俺も」
そうやってにこやかな笑顔のままスニーカーを上履きに履き替える山下くんには違和感しかない。
山下くんが朝からこんなに明るいことってある?
しかも笑顔が、なんか……
「純粋すぎる」
「何?」
「えっ、いや、今日の山下くんの笑顔が、純粋だなぁと、思いまして」
なぜかカタコトになってしまった。
相手が山下くんで、さらに二人きりというシチュエーションに段々と鼓動が速くなる。
そんな私を見て、山下くんがははっと笑い声をあげた。