山下くんがテキトーすぎて。



「……ん、けっこうハッキリついてんね」



低くてどこか色っぽい声に鼓膜が震える。

目の前にあるのは、満足そうな笑顔。



──ドン、ドン。



あぁまた……。胸が変な音たててる。




私の髪を放した指は、今度は首筋に直接当てられた。



「ひゃっ……!」



つーっと、ラインを引くように優しくなぞられて思わず身をよじる。




「大倉とはほんとに付き合ってない?」


「……うん。付き合ってない……」


「デート、楽しかった?」


「……うん」


「よかったね……。俺も見たかったな、遠山のワンピース姿」




顔、近い。山下くんの甘い匂いでクラクラする。



「見たんじゃないの……? えっと、その
……私と大倉くんを公園で」




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