山下くんがテキトーすぎて。
さっきとはまた違った音で心臓が鳴ってる。
頭が鈍く痛みはじめた。
「これ以上は聞かないで」
と苦笑いする山下くんに対して、私は今自分がどんな感情をもってるのかわからなくなった。
怒ってる……わけじゃない。でもそれと似た気持ちが胸の中をぐるぐると回り続ける。
「じゃあさ、俺からも質問させて?」
表情を崩さないまま山下くんが口を開く。
「なんで愛音ちゃんは大倉と付き合わないの?」
「……え?」
「大倉は愛音ちゃんが好きで、愛音ちゃんも大倉が好き。お互い、わかってんじゃないの?」
「ちょ、ちょっと待ってよ。なんで大倉くんが私のこと好きって……」
「愛音ちゃんを見てるやつのことはだいたいわかんだよ」
「………」
そんなこと言われたって……。
しかも、また大倉くんと私の話。
そんなに、付き合ってほしいの?
涙が滲みそうになった、矢先。
「……俺と付き合う?」
「………えっ?」
今度こそ、めまいがした。