山下くんがテキトーすぎて。



さっきとはまた違った音で心臓が鳴ってる。

頭が鈍く痛みはじめた。




「これ以上は聞かないで」


と苦笑いする山下くんに対して、私は今自分がどんな感情をもってるのかわからなくなった。



怒ってる……わけじゃない。でもそれと似た気持ちが胸の中をぐるぐると回り続ける。




「じゃあさ、俺からも質問させて?」


表情を崩さないまま山下くんが口を開く。




「なんで愛音ちゃんは大倉と付き合わないの?」

「……え?」


「大倉は愛音ちゃんが好きで、愛音ちゃんも大倉が好き。お互い、わかってんじゃないの?」


「ちょ、ちょっと待ってよ。なんで大倉くんが私のこと好きって……」



「愛音ちゃんを見てるやつのことはだいたいわかんだよ」


「………」



そんなこと言われたって……。

しかも、また大倉くんと私の話。

そんなに、付き合ってほしいの?


涙が滲みそうになった、矢先。




「……俺と付き合う?」



「………えっ?」




今度こそ、めまいがした。

< 246 / 299 >

この作品をシェア

pagetop