山下くんがテキトーすぎて。
「……だめって、言ったでしょ」
苦しそう歪められる目の前の顔。
私はただただ胸が痛い。
拒絶されたような感じがして悲しかった。
「なんで……だめなの?」
これ以上聞いたら嫌われちゃうかも知れないのに、抑えることができなくて訊いてしまう。
それがくだらない理由だったらどんなによかったか。
私の中にも、まだ余裕はあると思ってたのに。
「あのひとが、俺をそう呼ぶから……」
そんな返答に戸惑って、胸がよくわからない感情でいっぱいいっぱいになった私は
気づけばベッドから下りて
保健室を飛び出していた────。