山下くんがテキトーすぎて。



「……だめって、言ったでしょ」



苦しそう歪められる目の前の顔。

私はただただ胸が痛い。



拒絶されたような感じがして悲しかった。




「なんで……だめなの?」



これ以上聞いたら嫌われちゃうかも知れないのに、抑えることができなくて訊いてしまう。




それがくだらない理由だったらどんなによかったか。


私の中にも、まだ余裕はあると思ってたのに。




「あのひとが、俺をそう呼ぶから……」




そんな返答に戸惑って、胸がよくわからない感情でいっぱいいっぱいになった私は


気づけばベッドから下りて

保健室を飛び出していた────。


< 250 / 299 >

この作品をシェア

pagetop