山下くんがテキトーすぎて。
下の名前で呼ぶのが私だけ……!?
むり……ドキドキして胸が苦しい。
「過去に付き合った人の下の名前でさえあいつの口から聞いたことねぇわ。きっと知りたいとも思わないんだろーね」
笑いながら藤本くんが立ち上がる。
「それても告白してくる女の子拒まないのは、愛情に飢えてるからかもな……なーんてね」
「………」
「じゃー、山下のことはしばらく遠山さんに任せるから!」
それだけ言うと藤本くんは今度はちゃんと手でドアノブを回して(というか、出るときは引かないと開かないから手を使うしかない)階段へ消えていった。