山下くんがテキトーすぎて。


「……ちょっとふらついた、だけ。…ごめん」



咄嗟に出た大倉くんの腕に支えられて

山下くんは苦しそうに笑った。




「遠山さん、話は明日じっくり聞くから。楽しみにしてんね」


「えっ」


「がんばれ」



優しさをはらんだあったかい声。


遠ざかっていく背中に胸がじわっと熱くなる。


ありがとう、って心の中で呟いた。



私は高鳴り始めた胸に手を当てて

山下くんに向き直る。



突然のふたりっきり。

昨日の保健室でのことを思い出して

顔がカアアァっと熱くなるのがわかった。

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