山下くんがテキトーすぎて。
呟かれたその言葉に
私は口をぽかんと開けたまま動けない。
小さい声だったから聞き間違えかな?
と思って山下くんを見つめる。
「俺より大倉がいいって言ってもいいから。
俺のこと下の名前で呼んでいいから。
お願いだから離れていかないで」
そんな声を聞きながら
気づけばぎゅうっと抱き締められていた。
相変わらずドンドンと鳴り響く鼓動。
甘い匂いに包まれる。
山下くんの熱を感じる。
「俺の秘密、教えてあげる」
耳元で囁かれた声に頭がクラクラした。
「俺はね、」