山下くんがテキトーすぎて。



山下くんの顔がすぐ近くにあって、

低い声が私の鼓膜を揺さぶる。



藤本くんは意味深な微笑みを残して
教室を去っていった。



他に誰もいなくなると、
私はやっと口を開放された。



不足していた酸素が一気に肺に流れ込んでくる。




「山下くん、なんで!?
デートなんかじゃないのに……!」



「別に、なんだっていーじゃん」



「よ、よくないし!
なんでそんなテキトーなの!?」



「はいはい、ごめんって。それより
俺に話があるんじゃなかったの?」




「……あ、そうだった」




私は真っ直ぐに山下くんに向き直る。



いざ言おうとすると、なんかドキドキしてきて頭が真っ白に……なりそうで。



別に、告白するわけでもあるまいし。



なんでこんな
緊張しなくちゃいけないんだろう。



< 31 / 299 >

この作品をシェア

pagetop