山下くんがテキトーすぎて。
違うんだよね……
確かに問題もわからないけど、
今はそれ以前の問題で。
山下くんとの距離が近すぎて
問題に集中できない……
「ここはほら、
この公式使えばいーんだよ」
教科書を指差した山下くんの左手が
私の右手に少しだけ触れた。
ドキッと心臓が跳ねる。
「……うん、わかった」
どうにか頷いて
再びシャーペンを握りしめる私。
だけど……
「ねえ、山下くん」
「なに」
「この公式に、
どうやって当てはめるの……?」
「……そこからかよ」
「……ゴメンナサイ」
はぁ、と一度大きなため息をついて、
山下くんは私のシャーペンをとりあげた。
「簡単な式変形。1回書いてやるから、見てな」