山下くんがテキトーすぎて。
ノートにさらさら〜っと式を書いていく山下くん。
私のピンクのシャーペンを握る右手はごつごつしてて、硬そうで……
男の子なんだなって実感した。
「これで終わり。わかった?」
「書くのはやすぎてわかんなかった」
「お前なぁ……」
またしても盛大なため息。
やばい。
早々に呆れられてしまった。
やっぱり面倒くさいよね。
私馬鹿すぎるもん……
「山下くん、ごめん」
「なにが」
「その、私馬鹿でごめん……」
「………」
「いやだったら、今からでも断ってくれていいよ……」
自分でそう言いながら、
段々と弱気になっていく。
山下くんは何も言わない。
どうして黙ってるの?
何か、言ってよ……
顔を上げられない。
山下くんが
今どんな表情をしているのか、とか。
知るのが、なんとなくこわい。
──カタン。
目を閉じたあとに聞こえたのは、
山下くんがシャーペンを置く音。