山下くんがテキトーすぎて。



ノートにさらさら〜っと式を書いていく山下くん。



私のピンクのシャーペンを握る右手はごつごつしてて、硬そうで……



男の子なんだなって実感した。




「これで終わり。わかった?」



「書くのはやすぎてわかんなかった」



「お前なぁ……」



またしても盛大なため息。



やばい。
早々に呆れられてしまった。



やっぱり面倒くさいよね。


私馬鹿すぎるもん……



「山下くん、ごめん」


「なにが」


「その、私馬鹿でごめん……」


「………」



「いやだったら、今からでも断ってくれていいよ……」




自分でそう言いながら、
段々と弱気になっていく。



山下くんは何も言わない。

どうして黙ってるの?
何か、言ってよ……


顔を上げられない。


山下くんが
今どんな表情をしているのか、とか。

知るのが、なんとなくこわい。



──カタン。


目を閉じたあとに聞こえたのは、
山下くんがシャーペンを置く音。



< 36 / 299 >

この作品をシェア

pagetop