山下くんがテキトーすぎて。
「じゃー、やっぱやめるわ。
ひとりで、何とかしてみなよ」
冷たい声が、
ぐさりと胸に突き刺さった。
ガタリ、と山下くんが席を立つ音がした。
本当に、帰っちゃうんだ……
ぼんやりと
山下くんの足元に視線を移す。
すると。
「……いいの?」
不意に上から声が降ってきて、
私は反射的に顔を上げた。
無表情な山下くんと目が合う。
「愛音ちゃん。
俺、本当に帰るよ。いいの?」
「………」
なんで、そんなこと訊くの?
しかもまた、
「愛音ちゃん」って呼んだ……
意味、わかんないし。
帰りたいんなら、
さっさと帰ればいいじゃん……。
だけど…
「い、行かないで……!」