山下くんがテキトーすぎて。
ふわり、と
山下くんの匂いがした。
柑橘系の甘くさっぱりとした
香りに包まれて、
私は一瞬、身動きが取れなくなる。
えっと、山下……くん……?
パチッ…と、二つ目のボタンが
外れた音で我に返った。
「や、山下くん……」
「…………」
「山下くんってばぁーっ!!!」
状況が理解できてないまま、
私はとりあえず、山下くんの胸を
両手で強く押し返した。
「……ってーな。
優しくしてやろーと思ったのに」
な、な……
「優しくするって、何が!?
今の何!?新手の意地悪!?」