山下くんがテキトーすぎて。
私は慌ててボタンを留め直しながら
山下くんを睨んだ。
山下くんは
ひょいと肩をすくめてみせる。
「ねえ、意味わかんない。
なんで、ボタン外すのっ!?」
「遠山が
どんなカオするか興味あった」
「はあっ!?」
「よかったよ。
なかなか、そそられたし」
そう言うと
山下くんは鞄を持って立ち上がった。
鞄はぺしゃんこで、
見るからに何も入ってなさそう。
置き勉か。
さすが学年一位の山下くん。
余裕だね……
って、そーじゃなくて。
「ちょっと待ってよ。
山下くん、もう帰るの?」
「うん。だって単語書くの面倒だし」
「こんなの、あと20分もやれば終わるよ?」
「意味ないって、単語の書き取りとか。それに俺、眠い」