山下くんがテキトーすぎて。
「いやだよ〜私怒られたくない」
「大丈夫だよ、俺が守るから」
「……っ、本当ですか」
「大丈夫大丈夫〜」
オレが守るからなんてセリフに一瞬ときめいた私……
我ながら恥ずかしすぎて消えたい。
キイ…っと少し嫌な音を立てて扉が開いた途端、綺麗な夕焼けが目の前に広がった。
私の手を引く山下くんの髪もオレンジ色に染まって、風に揺れる。
「ほら、キレーでしょ」
そう言ってこちらに向けられた優しい笑顔に、思わず息を呑んだ。
いきなり胸が締め付けられたみたいになる。
全部が、キラキラして見えた。
少し間を置いたあと、
私は精一杯頷いた。
「綺麗。すごい…綺麗」
こういう時、自分の語彙力が皆無なのが非常に悲しい。
「……さてと。寝ようかな。
ほら遠山、ここに座って」
「えっ」
「早く。じゃないと俺寝れないから」
「……ひざ枕って本気だったの」
「俺の本望の1つだったからね」
本望って……
山下くんはそんなに女の子の太ももが好きなのだろうか。
「……やっぱり変態」