山下くんがテキトーすぎて。
山下くんは
変態。意地悪。意味不明。
それなのに
ドキドキしてる私が1番意味不明。
山下くんなんか好きじゃないし。
付き合うんなら、大倉くんみたいな紳士で優しい男の人がいいし。
山下くんなんか……
「あー…遠山の太もも気持ちい…」
「……っ」
山下くんなんか、
私のこと好きじゃないくせに。
"遠山のこと、女としては見てないから"
あの日、本人の口から聞いたんだから…
自惚れたら痛い目見るって、ちゃんとわかってるよ?
だけど………
「遠山…明日は、ちゃんと来てよ。頼むから、遅れたりとか…しないで」
「……うん。わかった」
「……6時になったら起こして」
「うん。りょーかい、です」
山下くんは満足そうに微笑んで、
静かに瞳を閉じた。
沈みかけの太陽の光に反射して、赤いピアスがきらりと光る。
全部がオレンジ色に染まっていて、とても綺麗だと思った。
「遠山、俺……」
少し掠れた声。
「どうしたの?」
「…いや、……なんでもない。
……おやすみ」