山下くんがテキトーすぎて。



山下くんは
変態。意地悪。意味不明。


それなのに
ドキドキしてる私が1番意味不明。


山下くんなんか好きじゃないし。



付き合うんなら、大倉くんみたいな紳士で優しい男の人がいいし。



山下くんなんか……




「あー…遠山の太もも気持ちい…」


「……っ」




山下くんなんか、

私のこと好きじゃないくせに。



"遠山のこと、女としては見てないから"



あの日、本人の口から聞いたんだから…



自惚れたら痛い目見るって、ちゃんとわかってるよ?



だけど………




「遠山…明日は、ちゃんと来てよ。頼むから、遅れたりとか…しないで」



「……うん。わかった」



「……6時になったら起こして」



「うん。りょーかい、です」




山下くんは満足そうに微笑んで、
静かに瞳を閉じた。



沈みかけの太陽の光に反射して、赤いピアスがきらりと光る。



全部がオレンジ色に染まっていて、とても綺麗だと思った。




「遠山、俺……」



少し掠れた声。



「どうしたの?」



「…いや、……なんでもない。
……おやすみ」



< 82 / 299 >

この作品をシェア

pagetop