ひと冬の想い出 SNOW
まずは布団をたたんで、押入れにしまう。


私はいないのと同然で、はたから見れば布団が敷いてあるだけ。


だから干さなくていいって言われた。


小鳥遊さんが洗面所から出てきたのを見て、私はすかさず選択にを回した。


そこで邪魔な髪を結った。


小鳥遊さんがパンを食べているのを確認してから冷蔵庫へ向かう。


「うわ。」


思わず声が出てしまうほど、冷蔵庫にはなにもはいっていなかった。


あったものといえば、賞味期限ギリギリの牛乳と、消費期限の切れた卵。


野菜室には、芽が出てしまったジャガイモ(本当は常温なんだけど…)とシワシワの人参。


冷凍室には何も入っていなかった。


きちんとした状態で入っていたものといえば、製氷機ぐらいだろか?


…絶対自炊していなかったな、これ。


私はすかさずメモ(昨日私用に買ってきてくださったメモ用紙とペン)を取り出し、必要なものを書いていく。


今日と、少なくとも明日の分は必要。


1人分だから、初めはお金が高いかもしれないけど、買い置きするからそれほどまで高くはならなくなるはずだ。


「あとはチラシを確認して、安い店を探しますか。」


「雪乃〜?俺もうでるけどいい?」


振り返ると用意を終えた小鳥遊さんがこちらを覗き込んでいた。


私はメモを小鳥遊さんに渡す。


「買い出しお願いします。」


今日は水曜日。


5コマで、バイトはない日。


小鳥遊さんはざっともメモに目を通すと顔を上げて。


「はーい。任せといて。」


と言って玄関に向かった。


安い店は明日までに探しておこう。


私もお見送りをするために玄関についていく。


靴を履いている小鳥遊さん。


私は車のキーを持った。


小鳥遊さんが振り返り、私の持っている車のキーを受け取る。


「いってらっしゃい。」


「いってきます。」


私が手を振ると、小鳥遊さんも振り返してくれた。


-ガチャ


外は快晴。


今日も1日、頑張らなくっちゃ。


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