ひと冬の想い出 SNOW
慣れというのは恐ろしいもので。


掃除、洗濯干し、食器洗い、部屋の片付け…家事は思ったよりも重労働。


家事に加えて育児も仕事をしながらこなす母親って、かなりたくましい。


「尊敬します!」


わたしは毎日それを感じている。


でも、さっきも言ったが慣れというのは恐ろしい。


初めはお昼頃までかかった作業も、今では10には全て終わってしまう。


だから午後まではやることがないのだけれど。


1ヶ月。


1ヶ月か。


わたしは本当に死んでしまったのだろうか?


でも、だとしたら、ずっとこのままなのだろうか?


でも、今のところ死んだという線はかなり薄い。


インターネットを使ったりして小鳥遊さんが事故や事件で亡くなった人を探したり、新聞の亡くなった人が載っているところをくまなく探してくれたりしたものの、わたしの名前はなかったからだ。


まあ、身元不明で亡くなってるひとも少なくないわけだし、またこの地域に住んでいたとも限らないし、もうしかしたらすでに死んでいるのではないかともおもっているわけだ。


「そんなこと考えてたって仕方がないのはわかってるんですけど…」


こうしてソファに座っていると、どうしてもそればかり考えしまう。


しかし、今日も疲れた。


最近気づいたんだが、ものを触るのは普通に大丈夫なんだけど、扉やドア、窓などに触るのは一苦労。


かなりの大量を消耗する。


突然襲ってきた睡魔。


わたしは、ソファで眠ることにした。


頭の奥で、また電子音が鳴っている。
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