3つの約束
6 理由
話というのは、こういうことだった。

婚約破棄となったため、式もキャンセルとなった。

あいさつをお願いしたうちの両親に謝罪したい。
連絡役をしてほしいとのことだった。


「あーあー、何やってるんだか」

「お前に言われたかない」


(あ、こういう琉夏久しぶり)


(そりゃー、凹みもするわよねぇ、私に頼むぐらいだもの)


「残念だったね。好きな相手と結婚できなくて」


ふとつぶやいた言葉に、琉夏が反応した。


「別に好きじゃないけど?」



「ハイ?」


言っていることがわからなかった。

結婚って好きだから、一緒に居たいと思うからするものではないのかな。

あれ、私のこの思考もお子様?


ぐるぐるしている春香の頭を、ぽんぽんと琉夏がなでる。



「専務の娘さんなんだ」

と小さくつぶやく。


「出世かー、出世かー、この琉夏めー」


「ちょ、お前もう少しボリューム落とせよ。恥ずかしいな」
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