たとえばモラルに反したとしても
驚いたまま硬直している桐華に、一瞬だけ瞳を揺らせて、それからもう一度手をグッと差し出してくれた。
「大丈夫ですか?」
「シュウ、知り合い?」
細い足に高いヒール。大人びた艶やかな唇を尖らせて問いかけた女性にシュウと呼ばれたホストは首を振った。
「それよりユリさん、怪我はない?」
「ええ、あたしは。彼女も大丈夫かしら?」
差し出した手を取るかどうするか迷っていると、いきなり腕をつかまれて優しく引っ張り上げられた。
それから全体を見遣ってからニコリと微笑んだ。
「大丈夫そうですよ」
「そう、なら良かったわ」
二人の会話を呆然としながら聞いていた桐華はその場に縫いつけられたようにじっと立っていた。
「じゃあまた来るわ」
「絶対に約束だよ? またシュウのご指名を!」
「ふふふ、もちろんよ」
などと交わす二人のやり取りをすぐ側で聞きながら、桐華はじっとホストの顔を見つめていた。
知らない人……
二重の綺麗な目はどちらかと言えば可愛らしくて、整った鼻筋と薄い唇が顔立ちのバランスの良さを際立たせる。
艶やかな黒髪は一切染めていないのにどこかなまめかしくて、可愛らしさを感じさせる顔立ちとのアンバランスさが彼の魅力になっている。
「大丈夫ですか?」
「シュウ、知り合い?」
細い足に高いヒール。大人びた艶やかな唇を尖らせて問いかけた女性にシュウと呼ばれたホストは首を振った。
「それよりユリさん、怪我はない?」
「ええ、あたしは。彼女も大丈夫かしら?」
差し出した手を取るかどうするか迷っていると、いきなり腕をつかまれて優しく引っ張り上げられた。
それから全体を見遣ってからニコリと微笑んだ。
「大丈夫そうですよ」
「そう、なら良かったわ」
二人の会話を呆然としながら聞いていた桐華はその場に縫いつけられたようにじっと立っていた。
「じゃあまた来るわ」
「絶対に約束だよ? またシュウのご指名を!」
「ふふふ、もちろんよ」
などと交わす二人のやり取りをすぐ側で聞きながら、桐華はじっとホストの顔を見つめていた。
知らない人……
二重の綺麗な目はどちらかと言えば可愛らしくて、整った鼻筋と薄い唇が顔立ちのバランスの良さを際立たせる。
艶やかな黒髪は一切染めていないのにどこかなまめかしくて、可愛らしさを感じさせる顔立ちとのアンバランスさが彼の魅力になっている。