たとえばモラルに反したとしても
「……なんのことか分からないけど……」

「どうせ隠してるんでしょ。歳だって誤魔化さないと働けないからね」

 三好の言葉を遮った桐華はまるで女王様のように三好を見下ろす視線で言い放った。

「黙っててあげるわよ。その代わり、あたしを楽しませなさいよ」

「……楽しませる?」

「そうよ、取り引きしなさい」

 両手を腰に当てて命令する桐華をしばし呆然と見遣っていた三好は、その内にクスッと小さく笑った。

「それは、どうやって楽しませるの? 僕が宮野さんに何かをすればいいの?」

「そうね……まずはあんたの事が知りたい。放課後時間ある?」

「ない、かな」

 笑いを堪えているような声音。


 なぜか桐華は自分の方が押されているような気になって不快になる。


「じゃあいつなら空いているの?」

「今夜、十二時くらいなら」

「は? そんな夜中……」

 言いかけてハッと気がつく。

「ホストの仕事ね」

「さあ?」

 クスクスと笑う。

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