たとえばモラルに反したとしても
見上げた空はまだ夏の余韻を残しているように見えるけれど、ぐっと高さがある。
夏のように暑い日があると思えば、急に夕方から寒くなったり、不安定になる気温が気持ちを表しているみたいだった。
九月最終日の空は、晴れ上がって呆れるほど青い空だった。
「宮(みや)、何を見てんの?」
ぼんやりしていると美羽(みう)が呼んだ。
「別に、外を見てただけ」
いつもクールだなんて言われるけれど、別に何のことはない。
テンションを上げるほどの事に出会わないだけ。
高校も二年目になると色々と慣れて毎日が適当に過ぎているだけ。
部活にも入っていないから何だか判で押したような毎日が過ぎていた。
宮野桐華(みやの きりか)はそんな退屈な毎日にうんざりしていた。
――どこかに行きたい……
思うだけ。
どこか遠くに行って、誰も知らない所で時間も忘れて過ごしてみたい。
光に溶ける泡になって、この世界から放たれたい。
そんなこと、思うだけ。
非日常を求めているのは毎日に退屈しているから。
それを壊すことなんて自分では出来ないのも承知していた。