たとえばモラルに反したとしても
「飲んでないよ? 僕、未成年だから」

「ウソ。お酒の匂いがする」

「きっと服に染み付いてるんだよ」

「そんな訳ないわ。あんな仕事のくせして」

「ホントだよ。じゃあ確かめてみる?」

 クスッとまた艶やかに笑う。

 その言葉に淫靡な雰囲気が漂う。

「……た、確かめるって……どう、やって……?」

 何となく。

 聞き返してはいけなかったような気がした。

 それでも、聞き返したくて堪らない。


 何の感覚なのだろう。

 今、この全身を覆っているは、一体何の感情なのだろう。


 分からないままに聞き返した桐華に、三好はすうっと目を細めた。

「簡単だよ、こうするの」

 一瞬、甘えた声になった。

 次の瞬間には、顔が寄せられて、唇に三好の吐息が触れる。


「……ね……少し……唇を……開けて?」


 柔らかく甘えた声のまま請われて、桐華は呆然と言われたままにうっすらと唇を開く。

 吐息がフッと掛けられて、すぐに軽く唇が重なる。


 ぞわりと全身に粟が立つ。


 軽く触れた唇に、有り得ないほど肌がチリチリと痛む。

 僅かに開かれた唇の隙間に、舌が差し込まれる。

 と思った瞬間に、唇を軽く舐め上げて三好はスッと顔を離した。
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