たとえばモラルに反したとしても
三好が家に来て……
二人だけの濃密なヒミツの時間が始まった。
もう昨日までの自分には戻れない。
昨日までの退屈と虚無を飼い慣らしていた宮野桐華は消え去った。
三好のキスはひどく扇情的で淫らでそのくせどこか淡泊。
あんなに身体中を震わされたキスは初めてだった。
唇が解放された時、どんな表情を見せたのか自分でも分からなかった。
三好が意地悪な笑みを浮かべて
「今の表情、やらし過ぎるんだけど」
と言いながら桐華の唇をそっと親指でなぞった。
あんなに心乱れるなんて。
我慢が出来ないほどもっともっと三好が欲しくなるなんて。
リードを取るのは自分だと、少し前まで信じていたのに、片時も握らせてなどもらえなかった。
玄関に踏み込んだ時から、全て三好のペース。
唇をなぞる三好の親指を桐華はそっと舌を差し出してゆっくりと舐めた。
ぞくりとしたのは桐華自身。
逃れられないほどの官能の波が一気に駆け抜ける。
グッと押し込められた親指を甘咬みすると、三好はクスリと笑う。
「ここからは何をご所望?」
意地悪なくせに甘い声。