たとえばモラルに反したとしても
どこにいても考えている。
誰といても、考えてしまっている。
今日も、仕事が終わったら来ることに……
そう三好に命令した。
「明日も来なさい」と、ベッドの中で背中を向けたままで命令した。
夜中に、タクシーを拾うからとシャワーも浴びずにあっさりと帰っていた三好の後ろ姿を見たくなくて、桐華は玄関の鍵も閉めに行かないまま眠った。
あんなにあっさりと帰るなんて……
乱されたのは自分だけなんだと、そう突きつけられて虚しくなる。
*
ばいばいって、浩が精一杯手を振る。
今まで何も思わなかったけれど、浩っていつも一生懸命で案外可愛い。
でもいつもの軽口、カノジョが欲しいとか、その内心は全然見えない。
三好だって、なんにも見せない。
学校で地味な三好なんて多分ニセモノ。
けれどそれを知っているのは桐華だけ。
他の人にとっては、あの地味な三好が本物に見えている。
オトコノコは分からない。
三好は全然分からない。
桐華に対して何を思って抱いていたのか。
何も思わずに命令のままに抱いたのか。
それでも夜を待ちわびてしまう。
三好に、もう一度会うと思うだけで、全身が震えた。