たとえばモラルに反したとしても
「シャワーなんか浴びたら、帰られなくなるけどいいの?」

「……え?」

「泊めてくれる? って聞いてるんだけど」

 ドクン、と心臓が跳ねた。


 泊まる?
 三好が?
 朝まで、一緒にいるの?

 うそ……


「ねえ、お姫様。お許しはくれないの?」

 首を傾げて問いかける三好は、甘え上手な男の子。

 それはホストとして演じているのだろうか。
 こうして、同じように年上の女性達に甘えているんだろうか。

 そんな想像を瞬き一つすることで打ち払う。

「……いいわよ。もちろん。でも分かっているよね。あなたが寝るのは――」

 声を揺らさないように平然とした態度を見せながら告げた。

 ――あたしの隣だから。

 三好はまるでネコのように眼を細めて笑って、「仰せのままに」と恭しく頭を下げた。

 さらりと黒髪が解けて落ちて、綺麗な眼差しをサッと隠し、顔を寄せてそっとキスを落として行った。

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