たとえばモラルに反したとしても

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 圭祐はゆっくりと瞬きをした。

 隣からゆるりとアミの使う甘い香りがする。

 みんなが出て行ってしまい、二人きりになってしまった部屋は一気に静かになって、そして空気まで冷えた気がした。
 お盆の上に乗せられている七つのコップを見るともなくぼんやりと見ていた。

「片付けは、後でいいよね?」

 桐華の片付けを中断させたアミが甘えた声で言ってから圭祐の方へとにじり寄って来る。

「ねえ圭祐君、痛い? どこが痛い?」

 ペタリと胸に頬を寄せてアミは圭祐に抱きついた。

「アミのせいで……ごめんなさい」

 下から見上げてくるアミは、男なら誰でも抱きしめたくなるほど愛らしい。
 潤んだ瞳にリップの塗られた可愛い唇。
 吸い付くように抱きついてくる細くてしなやかな腕。

「圭祐君……キスしてもいい?」

 耳が痺れるような甘い声。

 分かっているはず。
 アミはこの声が男の根底に響くと分かって、甘えた声を出している。

 圭祐は眼鏡を外しながら短く返事をした。

「ああ、どうぞ」

 グッと顔を近づけたアミが圭祐の唇に触れる。

 軽く触れてから、深く重ね合わせる。

 長いキス。

 アミは夢中になって圭祐にキスをする。
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