妖あやし、恋は難し



「──さて、これからどう致しましょうか」


依頼の内容が語られたのち、集められた者達は二手に分かれることになった。

人から人を守る者と、
人ならざるモノから人を護る者に。

まあ、要は腕のたつ要人警護のプロ達と、祈祷師霊媒師などの怪しげな変人たちに分けられたということだ。

前者の者達はさっそく屋敷内部の構造をしっかりと把握する為、執事の峯と共に屋敷内部を見回りに行った。

取り残された結たちは彼らにとってみれば、毛ほどの期待もしていないのだろう。

実際、今回のケースでは役に立ちそうもないと、結は心の中で感じていた。

結たちが立ち向かう相手は、あくまで妖や霊の類。

脅迫状を寄越すような相手であればどう頑張ってもあがきようがない。

出来ることがあるとすれば、主人が死なぬよう祈ることくらいだ。


結はこの場に集まっている同業者をざっと見回す。

先ほど、これからどうするかと問いかけたのは、一番年長者であろう僧侶の男。名は弦。

その右隣にいるのは若作りした占い師おばさん。その界隈では一番の有名人らしい。名はマリアと言っていたが、きっと本名じゃない。

その更に右隣にいるのは、何故かこの時代に烏帽子を被っているという明らかな時代錯誤をおかした男。祈祷師の賀茂。

テーブルを挟んで賀茂の向かい、結の隣に座っているのは幣(ぬさ)を手にした神職。名は名乗らず。

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