妖あやし、恋は難し
◆
「…はあ、息苦しかったぁ」
部屋を出た結は思わず、胸につかえた思いをため息とともに口に出してそう言った。
同業者から向けられる冷めた視線を逃れ出て、結は何とか部屋から抜け出してきたのだ。
これで睨み付けられる心配もない。
なんでこんな気苦労ばかりなのか。
(もう忘れよう…あの人たちも、怖い人も…)
ふるふると頭を振り、頬をびたんと両手で叩いて気持ちを切り替える。
屋敷はやはり広かった。
外から見るより複雑で、何部屋もあり、その一つ一つを見て回るには時間が明らかに足りない。
(とりあえず歩いて回ってみようかな)
手を後ろで組み、散歩感覚で歩き始める。
気になった部屋は覗き、そうじゃないところは何もしない。
さながら近所のお宅訪問の気分だ。
そうして歩くうちに時間は経ち、外がすっかり暗くなった頃。
結はある部屋に行きつく。
ドア、ドア、ドア…と続くなか、不自然にそこに現れたふすま。
中は想像の通り。
(……和室だ)
この屋敷の中で初めての和室。
そしてその中には、一人の男が布団の中に横たわっていた。
「…はあ、息苦しかったぁ」
部屋を出た結は思わず、胸につかえた思いをため息とともに口に出してそう言った。
同業者から向けられる冷めた視線を逃れ出て、結は何とか部屋から抜け出してきたのだ。
これで睨み付けられる心配もない。
なんでこんな気苦労ばかりなのか。
(もう忘れよう…あの人たちも、怖い人も…)
ふるふると頭を振り、頬をびたんと両手で叩いて気持ちを切り替える。
屋敷はやはり広かった。
外から見るより複雑で、何部屋もあり、その一つ一つを見て回るには時間が明らかに足りない。
(とりあえず歩いて回ってみようかな)
手を後ろで組み、散歩感覚で歩き始める。
気になった部屋は覗き、そうじゃないところは何もしない。
さながら近所のお宅訪問の気分だ。
そうして歩くうちに時間は経ち、外がすっかり暗くなった頃。
結はある部屋に行きつく。
ドア、ドア、ドア…と続くなか、不自然にそこに現れたふすま。
中は想像の通り。
(……和室だ)
この屋敷の中で初めての和室。
そしてその中には、一人の男が布団の中に横たわっていた。