妖あやし、恋は難し

最初に見た時は衝撃だった。

まだ学生の身分でやつらと同じ霊能者を名乗り、詐欺師同然のことをしている。

その事実に衝撃を受けたのだ。

こんなガキまでもがバカげたことをする世の中になったのかと。

だが部屋の中で、他の霊能者たちにいびられていた時に
ああ、こいつも間違いなく同族なのだと知った。


(なんだよ、物心ついた頃からって…もっともらしい事を言えば信じられるとでも思ってんのか?馬鹿らしい。どうせ隙を見て何か盗もうとでも思ってんだろ。女だろうがガキだろうが、容赦するか)


そんな事を思いながら和室の前に佇む彼女に話しかけた。

これがまた、びくびくおどおどと、わざとらしいくらい怯える女だった。

一声かけただけで飛び上がるほど驚き、低い位置から涙目をうるうるとさせながら睨みあげてくるのだ。

仕事柄(主に顔面のせいだが)年の若い女性に耐性がない湊は、ぐっと言葉に詰まる。

しかし、そんな湊に向かって彼女が放った言葉は


『~~~ッ嫌い!!!』


なんと、その一言だけである。

湊は一瞬フリーズし、当然、怒り爆発。

心の内で苛立ち怒ることはあれど、それを口に出すことはないない湊が、大声で怒鳴りかけた。


だが


当の彼女は「おじいさんがいない」だの「時間がない」だの言って、足早に立ち去ろうとする。

挙句の果てには何か緑色の物体が飛んできて、手を離した隙にぴゃっと駆けてどこかへ行ってしまった。

そして現在に至る。

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