妖あやし、恋は難し

いざ対決




バタンッ!!!!


寝室の扉が勢いよく開く。

「…何ッ!?」

峯や洸太郎は飛び上がる勢いで驚き、湊は洸太郎を背に庇うようにバッと振り返り、スーツの中に隠した拳銃に手を伸ばす。

敵が来た

皆がそう思い、身を強張らせた。


それなのに


「ううう~~ッ!!待っ、てぇええーー!!!!!」

扉の奥から出てきたのは、巫女の格好をした一条結だった。

「あ゛!!?」

湊の額にぴきりと青筋が浮かぶ。

「てっめえ!!!」

「一条様!?ここで一体何をっ」

峯達がそう尋ねるが、結は今それどころじゃない。

「いいい今はッ、それどころじゃっないんですううう!!!早くッ『彼』を、ここから離さなきゃッッ!」

湊は結の姿を改めてみる。

彼女は何かを引いていた。

金色の鎖のようなもの、それは空中で何かに絡まっているようで、それを部屋の外に追い出そうと彼女は引っ張っているように見えたのだ。

ただ、その鎖の先には何もない。

目を疑う光景がそこには広がっていた。

当の結は完全に力負けしているのか、歯を食いしばり踏ん張る彼女の身体はずりずりと洸太郎のベットがある方向に引きずられて行く。

何が起こっているか分からない。

現実にはあり得ない。
理解できない事象が起こっている。

ただ、彼女は今何かと立ち向かっている、それだけは湊にも分かった。


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