妖あやし、恋は難し
二度目の出会いは依頼にて

意外な依頼人




私の名前は一条 結。
どこにでもいる、ごく普通の女子高生。

ちょっと引っ込み思案で、人見知りで、ちょっと不思議な所がある女の子だ。
どんな不思議な所かと言うと。

「結ちゃん、どこ見てるの?」

何もない所を黙ってぼんやり見ていたり。

「結ちゃん、誰と話してるの?」

独り言が多かったり。

「結ちゃん……何してるの??」

空中をぼすぼす叩いていたり。

などなど


傍から見れば、とかく変な行動が目立つ女の子だった。

そんなだから、周りから浮いてしまい、常に独りぼっちかというと、そうでもない。
ありがたいことに、友達といってくれる人もいる。

例えば、隣の席の女の子。


「おーい、結。また変な所見てるぞ」


橘 菖(あやめ)
短髪でボーイッシュなスポーツマン女子だ。

呆れた様に頬杖をついて結を見ている。


「…へ?」

「また何もない所を見てたって」

「あ、ごめん…」

「結、そういうの多いよな。そこんとこ直せば、男子から絶対人気出るのに、可愛いんだからさあ」

「…へえ……」

(あーあ、またどっか見始めた…)


菖は呆れる。

彼女が結と知り合ったのは高校生になってから。
結はどこだったか遠い学校から転校してきた。

その頃からこうだ。

(変な癖さえなきゃなあ…結にも彼氏の一人や二人できるのに…)

実際問題、彼女はモテる。
美人だし、綺麗だし、なにより優しい。

ちょっと不思議な所はあるが、それさえ直せばアタックし始める男子も増えると菖は思っていた。

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