妖あやし、恋は難し
お姉さん
◆
さて問題です。
いま私はどういう状況でしょう。
◆
隣り合う、泣き虫女子高生陰陽師と強面短気ガードマン
長く続く無言の時間
細かく揺れ動く、狭い密閉空間
そう。
今、私こと一条結は、何故か、宿敵(?)皇湊の運転で、車に乗っていた。
◆
事のあらましを説明しよう。
やはり、湊は依頼をするために、結に手紙を送っていた。
【陰陽師】である一条結に。
前回の出会いが出会いだっただけに、結はそのことが信じられず何度も繰り返し確認したが、結局それがしつこ過ぎてまた怒鳴られる羽目になった。
その後、彼は依頼の内容は一切言わず
「ついてきてほしい場所がある」
とだけ言って、半ば無理やり車に乗せて発車させたのである。
以前、
彼と最後に出会った日。
それは、柳邸での脅迫事件の数日後、洸太郎の父の供養をしに行った日だった。
和室で仏壇に向かって手を合わせていた時。
『独り言の多いガキだな』
彼は背後に立ってそう言った。
『…き、き聞いて、たんですか……』
『別に』
もう帰るんだろ、送る。仕事だからな。
そして最後の最後まで仏頂面のまま、湊は結を睨み付けて、結は半泣きで、最後は目を合わすことなく二人は別れた。
そうだ。
彼は嫌っていたはずなのだ、
結そのものを、
彼女の職業を。
だったらどうしてここに彼がいるのだろう。
(どうして私に、依頼をしたのだろう…)
さて問題です。
いま私はどういう状況でしょう。
◆
隣り合う、泣き虫女子高生陰陽師と強面短気ガードマン
長く続く無言の時間
細かく揺れ動く、狭い密閉空間
そう。
今、私こと一条結は、何故か、宿敵(?)皇湊の運転で、車に乗っていた。
◆
事のあらましを説明しよう。
やはり、湊は依頼をするために、結に手紙を送っていた。
【陰陽師】である一条結に。
前回の出会いが出会いだっただけに、結はそのことが信じられず何度も繰り返し確認したが、結局それがしつこ過ぎてまた怒鳴られる羽目になった。
その後、彼は依頼の内容は一切言わず
「ついてきてほしい場所がある」
とだけ言って、半ば無理やり車に乗せて発車させたのである。
以前、
彼と最後に出会った日。
それは、柳邸での脅迫事件の数日後、洸太郎の父の供養をしに行った日だった。
和室で仏壇に向かって手を合わせていた時。
『独り言の多いガキだな』
彼は背後に立ってそう言った。
『…き、き聞いて、たんですか……』
『別に』
もう帰るんだろ、送る。仕事だからな。
そして最後の最後まで仏頂面のまま、湊は結を睨み付けて、結は半泣きで、最後は目を合わすことなく二人は別れた。
そうだ。
彼は嫌っていたはずなのだ、
結そのものを、
彼女の職業を。
だったらどうしてここに彼がいるのだろう。
(どうして私に、依頼をしたのだろう…)