妖あやし、恋は難し
大きめのガラス窓から結と湊は中を覗き見る。
ベッドの上には、とても美しい女性が横たわっていた。
(わあ…綺麗な人。…でも、顔色が悪いし、げっそりしてる…)
腕からは何本も管が伸び、たくさんの機械にも繋がれている。
その様子から、素人目にもかなり悪い状態であろうことは分かった。
「姉だ」
「え、」
突然そう言われ、結は虚を衝かれる。
「皇遥(はるか)。二年前からああでな。元々病弱な人だったが、今じゃほとんど寝たきりだ」
「…どこか、ご病気なんですか?」
そう聞くと、湊は眉間の皺を深めて言いにくそうに口を開く。
「……分からない」
彼女は原因不明の病にかかっていた。
治療法も、病名すら分かっていない。
ただ時間が過ぎていくと共に彼女の身体は衰弱していった。
今では寝たきりで、機械や薬に頼ってなんとか生きているといった最悪の状況にあるらしい。
「もう病状が好転することは無いらしい」
「…!そんなに…」
「別に、それに関してはもういいんだ。やれるとこは何でもやった。それでもどうにもならなかった、そうなる運命だったと諦めるしかない。あとは穏やかな最期を与えられればそれだけで」
だがな、
「心残りは無くしておきたい」