妖あやし、恋は難し
「…ッぐはっ!!げほ、げほっ……な、なんなのよ…!」
解放された占い師はせき込み、顔には恐怖の色を浮かべて結を見かえす。
首には大きなの手形がしっかりと残っていた。
結は申し訳ないと思いながらも、予想外に恐怖と実感を与えられたようで。
「…分かりました?ここには妖がいるんです、あなたの目に見えないだけで。怒らせると今度は首を絞める程度じゃすみませんよ」
「…っ! お、脅しのつもり!?」
「そう取ってもらって構いません。嘘偽りで金を儲けるために人をだます詐欺師同然のあなたが、これ以上私の仕事を貶める行動をとられるくらいなら脅します」
「……!! 何なのよ、あなた!」
「あなたの同業者ですよ。彼の依頼で、お姉さんを助けに来たんです」
だから、よく聞きなさい。
結は女の目を翡翠色の瞳でまっすぐに見つめて言う。
「二度と彼女に近づかないで。今度、もし彼女に近づくようなことがあれば、次は首を絞めるだけじゃすみませんよ。私がやらなくても、妖が手にかけるかもしれない。それだけは覚えておいて」
結の脅しは、思いのほか効いたらしい。
占い師は何度もこくこく頷き、急いで病室を出ていこうとする。
しかし
「ちょっと待ってください。話はまだ終わってませんよ」
結の言葉で女はびくりと足を止めた。