妖あやし、恋は難し
峯の話はこうだ。
ちょうど一週間前
柳邸の主、洸太郎の元に脅迫状が届いた。
内容はごくシンプル
『一週間後の真夜中零時までに、柳洸太郎の御命を頂戴する』
どうやって、どこで殺すか、そんな事は一切分からない
分かっているのは命が狙われているという事だけ。
初めはそんな脅しなど、相手にもしていなかったらしい。
しかしその日以来彼の周りで不思議なことが起こり始める。
乗っていた車が突然故障し、事故に合いかけたり
屋敷のキッチンでボヤ騒ぎが起き、家が火事になりかけたり
毎晩毎晩殺される悪夢にうなされたり
何故か通り魔に出くわし、死にかけたり。
いくつもの不幸が連日連夜降りかかったのである。
今日までは奇跡的に生き延びたが、脅迫を信じてしまった主はすっかり怯えて部屋に閉じこもってしまった。
もちろん何もせずにみすみす殺されたくはない。
そこで洸太郎は、全国から各方面の『護りのプロ』を招集させた。
今日、殺されるタイムリミットの零時を回るまで、自分を護衛させるため。